スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

花びらたち ★5-4(BAD)

「ぅぅうぐぅああぁぁあああああああああああああああああああああ!」
 体中の神経が火あぶりを受けているかのようだった。マーガレットは雄たけびにも似た呻きを突き上げ、のた打ち回る。
「お、お嬢さま、マーガレットさまに何を……!」
「ちょっと黙っていなさい。今はいいところなのよ?」
 スミレにはまったく耳を貸さないマリーゴールドは、興奮した面持ちで観察を続けていた。妹の異常に狼狽する様子もなく、むしろ喜びさえ滲ませている。
「ぐぅぅぅ、ぎッ……!」
 姉の視線に気づいてはいるが、マーガレットにはどうすることもできなかった。心臓が破れてしまいそうなほど激しく鼓動し、体中の水分が根こそぎ奪われている気さえした。
 密閉されている地下室の温度はどんどん上昇していく。スミレはメイド服が汗で張り付いていることに気づき、マリーゴールドは額の汗を拭おうともしない。
「がぁっ、ああああああアアアアアァァああああァァァァアアアア!」
 意識がはっきりしている。なのに、自分のものではない。漠然とそう感じる。そいつが何か言っている。
“――――――――――”
 精神操作とかそんな次元でもない。文字通り、内側に誰かいるのだ。別人格に変身する――そう言った方が正しいかもしれない。
 悶絶している妹を眺めている姉が、ふと天井を見上げた。正確にはその向こう側を。
「来たみたいよ、あなたのお友達」
 言い終わるとほぼ同時に、地上にある入り口付近からけたたましい音がなだれ込んできた。
 破砕音と共に、一陣の風が吹き抜ける。その風の感触をマーガレットは知っているはずだったが、今の彼女では一切感じ取ることができなかった。
 地面と同化するように隠されていた地下室への入り口。それを粉砕をした風の正体は、狭い通路を浮遊しながら飛び込んできた。
「マーガレット……!?」
 幼なじみにして親友、そして仲間であるチューリップは、愕然としながら床に降り立った。すぐさま駆け寄ろうとする彼女に、
「チューリップさま、ダメです!」
 入り口付近で膝をついていたスミレが叫んだが、赤髪の拳士は意に返さない。しかし、マーガレットに一歩近づいただけで、その足が止まった。
「なっ、なに、これ……!」
 尋常ではない熱量を感じ取ったのだろう。狼狽しきった目の色で、マーガレットの向こう側で笑みを浮かべている人物を睨む。
「なんで……なんで笑ってるの!!」
「なんでって、面白いから」
 一連の現象を生み出した本人は、飄々と答えた。その一言だけでチューリップは瞳を怒りで満たすものの、位置関係が悪すぎた。マーガレットは常に高温の魔力を放出しており、マリーゴールドを守るような状態になっている。
「ぐっ、うぅ、ぅうぅぅうぅぅうううううぅう!」
 歯を食いしばりながらマーガレットは姉を睨み上げた。このとき気づいた。最初から想定していたのだ、ということを。
 マリーゴールドの性格からすれば、不思議なことではなかった。彼女は自分を中心にして世界が動いていると考えるほど高慢で、身勝手で、かつ頭も良い。
 全て思い通りなのか……
「――ぐがッ!」
 瞬間、心臓が大きく跳ねた。胸が突き破れるかと思うほどの衝撃を味わい、マーガレットは漠然と悟った。これから起きることを。
 己の最期を自覚した。
「どうしよう……! どうすればいいの……!」
 泣き出しそうになっている幼なじみに、マーガレットは爆発的な鼓動を続けている心臓に抵抗しながら、声を絞り出した。
「ッ――にげ、なさい――!」
「え……?」
「逃げて――! ここから、いま、すぐ――! 逃げ――ッ!」
 渦巻いている魔力の奔流が空気中で鳴いている。そのせいで小さな声はほとんどかき消されていたが、チューリップの魔力で強化された聴覚が、かすかにその言葉を拾い上げた。
「なに……言ってるの? 逃げろって、なんで!」
 チューリップは助けに来た――それは分かっている。助けたい――それも感じている。
 だけど、もう駄目なのだ。
「いいから――逃げなさい――! はやく、あなただけでもッ!」
 びくっ、とチューリップが震えた。
 信じられなかった。マーガレットからそんな言葉が出てくるなんて。「あなただけでも」なんて、他の人はどうでもいいみたいに。
 同時に、彼女の結末をチューリップは直感し、拒否するように首を強く振った。
「やだっ……! やだよ! そんなことってないよ!」
「言うことを、聞――ッァ、アアガアアアアアァゥイウウゥウウウゥウアアアアアアアアア!」
 再び心臓が激しく震え、治療士は胸を押さえつけながらうずくまる。その鳴り止まない鼓動は間隔が狭くなってきていて、時間が迫っていることを否応なしに自覚させられた。
 体中の水分が蒸発しているような気がしていた。放出する熱は濃度を増す一方で、室温も危険な域に入ろうとしている。マーガレットの体は桁外れの魔力の強さによって、赤い光が帯び始めていた。
「ッ――おね、が、い――!」
 お願いだから、逃げて。
 彼女の声帯から発せられる音ではなかった。体も心も、なにもかも違う何かに上書きされていく。意識も薄れていく。その中で必死に、幼なじみへと懇願した。
「うう、ううう……っ!」
 歯を噛んで唸っていたチューリップだったが、不意に瞳を決意の色で満たした。彼女の足元から風が湧き上がり、赤いショートヘアが吹き上がる。
 そう、それでいい――マーガレットは安堵しかけたが、幼なじみが起こした次の行動に目をみはった。
 制御できなくなった体が持ち上がる。続いて破砕音。高速で流れていく視界。
 チューリップは単身ではなく、親友の体へと抱きつくようにしながら飛んだ。魔力強化した肉体で強引に天井を破壊しつつ、地上までの長い土の層まで突っ切って、空へと飛翔したのである。
「ぐうううううううううううううううぅぅぅぅうぅぅ!」
 耳をふさぎたくなるほどの呻き声。
 激しい蒸発音も聞こえる。これは、灼熱の塊と化したマーガレットを抱きかかえているチューリップの皮膚が、法衣もろとも溶かしてしまっているのだ。
「馬鹿ッ――なにをしているの!」
 皮肉なことに、この信じられない行動を目の当たりにしたおかげで意識を少なからず取り戻すことになった。
 幼なじみの手も、腕も、足も、なにもかも蒸発していく音が鼓膜を揺さぶっている。目の前にある彼女の表情は苦に歪んでいながらも、芯の強い意志をみなぎらせていた。
「あのとき、ずっと一緒って決めた……!」
 たしかに誓い合った。二人はどんなときも一緒だと。
 それは子供の頃の話で、仲が良いことを確かめるための、じゃれあいのようなものだ。
 なにもこんなときにまで――最期のときまで一緒でいることなんてないのに!
「あなた――! 本当に、馬鹿ですわ――! 本当に――!」
 しかし、想いは胸の奥にまで溶け込んできた。「嬉しい」とマーガレットは感じたのだった。
 チューリップはぎゅっと両目を閉じている。彼女の法衣はほとんど蒸発してしまっていた。健康的で引き締まった肉体が半裸になってしまう。あちこちの肌から蒸気が立ち上っていた。
「…………」
 赤髪の幼なじみはもう口を開かなくなった。唇がなくなっている。愛らしい顔の表面は溶け始めていて、瞼も鼻も耳も、骨さえ蒸発しかけて、ほとんど原型を残していない。目の前にいるのは、ただの肉の塊だった。意識なんてとっくに失われている。
 ただ、マーガレットを一人にしたくないがために――その強い意志が肉体だけを突き動かし、ひたすらに天へと上昇していく。
「ありがとう――チューリップ」
 これだけ空に上れば、街全体に降りかかる影響は少ないだろう。真っ直ぐすぎる想いは、多くの生命を救うことになる――

 本当にこれで終わりなのか?

 この状況でも、マーガレットは心の中で躓いた。まとわりついて離れない違和感。もやがかかったように鮮明じゃない。
 景色が真っ白な雲を捉えた。それが一瞬逆戻りする。走馬灯――違う。
 あのとき、あの人はどんな顔をしていた? チューリップが活力を漲らせて自分を抱きしめてきたとき、あの人はどんな気持ちでいた? 天井をぶち壊す瞬間、視界の端に移っていたあの人は、

 笑っていなかったか?

 普段浮かべている笑みではなく。あの人があんな顔をするのは、小さい頃から何度も見ている。だからすぐに分かった。
 全部、描いた通りなのだ。自分たちは手のひらの上の道化で、見えない糸で操られていた人形で――
「ぅ、うううぅぅぅぅ!」
 チューリップの想いさえ、彼女は利用したのだ。
「マリー……! マリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」
 数年ぶりに口にした姉の名前。憎しみで彩られた声は空に響き渡り、直後、内側からの爆音によってかき消された。


 ――マーガレットとすぐに戻ってくるから!
 そう残して赤髪の拳士が飛び去っていった後、カトレアはドールたちを前に膝をついていた。
(一振りでこの有様か……!)
 目の前には砂の山が築き上げられている。ドールは魔法によって”自立”させられたもので、いわば魔力で動く人形だ。カトレアの刀で斬れば砂や土に戻る。
 対抗手段は申し分ないが、今の彼女にはほとんど魔力が残っていない。ドールを一体斬り伏せただけで膝が折れてしまった。
 その間にも、土人形どもは群れをなして迫ってくる。スピードは速くないものの、疲弊したカトレアの方が不利であることは明白だった。
 刀で体を支えながら立ち上がる。掴みかかろうとしてきたドールを斬り捨てつつ、荒く息を吐く。足元がおぼつかない。細かく動き回って囲まれないようにしたいが、それさえままならないのだった。
「ぐっ!」
 不意に、背中に衝撃が走った。地面から新たに生まれたと思われるドールが、体ごとぶつかってきたのだ。
 受身を取ることさえできずにうつ伏せで倒れこんでしまう。同時に、地面と胸元が密着している部分に違和感を覚えた。土がうごめいている――気づいたときにはもう遅かった。
 どっ、と鈍い音。倒れているカトレアの体が突如として浮き上がった。
「ごふっ……!?」
 小さな目が見開かれる。くの字に折れ曲がる小柄な肢体。地面が細長く盛り上がって、彼女の腹部を突き上げたのだった。
 ぐらりと体が傾いて、再び地へと落下する。
「ぐ……か、はっ……! ぅぇ゛っ……!」
 喉の奥から粘ついた液体が上ってきて、大きく咳き込んだ。腹の奥底で鈍痛が強く残っている。
(胃に入った……!)
 嘔吐感に苛まれるカトレアに影が落ちた。腹を打ち上げた地面の山がドールへと変貌し、彼女へと手を伸ばす。
「――っ!」
 痛む体に鞭打って、転がるように動きながら刀で斬り上げた。土人形は手首を切断されただけで砂へと朽ち果てる。
 が、すでに周りを取り囲まれていることをカトレアは悟っていた。立ち上がる隙も与えられず、転がった先で待ち構えていたドールから蹴りを食らった。
「がっ……!」
 腹部に衝撃。軽い体が蹴鞠のように飛ばされる。それでも刀だけは手放さないのは、まだ戦意を喪失していない証明でもあった。
「かっ、はあっ――はっ――!」
 戦う意志は硬く強靭でも、多勢に無勢は変わりない。倒れこんでいるカトレアへと、四方八方から土人形どもが群がってくる。
 立たなくては。苦痛に顔を歪ませながら、刀を杖代わりに起き上がる――そのつもりが、背後から近づいてきたドールによって、強引に引っ張り上げられた。
「なっ……」
 刀を持つ右腕、そして左腕を、別々のドールが掴んでいる。拘束された。
 真正面から新たな敵が迫る。前面が無防備になっている少女へと、土の腕が振るわれた。
「ぐはっ……!?」
 口から唾液の飛沫。またしても腹を狙われた。魔法強化されていない肉体を打つ音が響き、カトレアは苦痛にうめく。
(共有している……!)
 ドールは術者の魔力によって一時的な生を与えられており、複数出現していても、元をたどれば一つの魔力に辿り着く。人形たちの一体が何か知識を得れば、他の人形にも反映されると考えられる。
 地中からの初撃を腹部を受けたとき――そこが攻撃の有効箇所であるとドールは学習したのだ。
 焦りがカトレアの心中で反響する。チューリップならともかく、生身同然の自分では無造作な殴打でさえ致命傷になり得る。そのうえ、魔法でもなんでもないただの拘束すら振り解くことすらできない。
 また土の拳が、少女の薄い腹筋をへこませた。
「ぉ゛……えっ……!」
 目を見開き、圧迫感にえずく。ずっしりとめり込んだ土の塊が腹の奥へと沈み込んでいた。細身な体に対して太さも重量感もあり、少女の柔らかな内臓は体内で押し込まれ、潰れた。
「ぉぐっ……! けふっ!」
 胃に貰っていた一撃が効いていた。ぐるぐると渦巻く嘔吐感に、小さな口から透明な胃液が零れ落ちる。膝が力なく曲がっているが、拘束のせいで倒れることも、防御することも許されない。
 前屈みになりかけた体を、左右からぐいっと強引に起こされる。そこへまたボディに捻じ込まれた。
「うぅぅっ……!」
 またくの字に曲がる。鉛でも打ち込まれているかのような痛みに、瞳が苦痛一色に染まっていく。
「ふぐっ! げほっ! んうっ……!」
 繰り返される打撃は、寸分違わずカトレアの胃袋を殴り続けた。戦器士は腹筋に力を込めて対抗するも、一撃を加えられるたびに脆くなっていく。
「ぅぐぅ゛ぅ゛っ! か、ひゅ……!」
 殴られるたびに呻き声が濁っていき、膝が震え始めた。呼吸困難。意識が揺れる。集中的に痛めつけられた胃がヒクヒクと痙攣していた。
「はー、はー、ぅ、ぇ゛ほっ……!」
 胃液と唾液を垂らしながら、カトレアはとにかく耐えるしかない。この状態でも彼女はチャンスをうかがっていた。心を持たないドールたちではあるが、付け入る隙はどこかにあるはず。
 そして結果的に、打開の瞬間は予想外なところから生まれた。
「ぐぷ……!」
 何度目かの突きで胃液の飛沫を飛ばす。今度はすぐに土の拳が引き抜かれなかった。
 散々殴りつけてきたドールが、あらぬ方向を向いている――目が存在しない頭部だが、カトレアには漠然とそれが分かった。
「――あああっ!」
 ずたぼろになっている己の体を強引に奮い立たせる。両足を上げて目の前にいるドールの胴体を思い切り蹴り飛ばした。拳が一瞬深く沈み込んだが、カトレアは耐えた。
 反動で左右から腕を掴んでいるドールもろとも後ろへ倒れていく。地へ打ち付けた衝撃で拘束が緩んだとき、彼女はもう次の行動に移っていた。
 逆立ちする要領で立ち上がり、倒れている二体を同時に一閃する。刃がヒュッと音を鳴らし、たちまちドールどもは砂粒となって崩れた。
「はあっ、はあっ、はっ――」
 今の行動だけでも限界に近かった。痛めつけられた腹部の鈍痛に膝が曲がってしまう。
 敵の集団はまだまだ存在する。体勢を立て直さなくてはならない。彼女はしかし、ドールが迫ってくる気配を感じなかった。
 視線を巡らせると、さきほど蹴り飛ばしたドールだけでなく、どの人形たちも動きを止めていた。その理由にカトレアもすぐに気づく。
(なんだ……?)
 北の方角から、オレンジ色の発光体が打ち上がっていた。真昼の太陽にも劣らない光が、天へ向かって斜めに飛んでいく。
 距離が離れているはずだが、カトレアは強大な魔力を感じ取っていた。皮膚がびりびりするほどの波動に、ぶるっ、と身がすくんだ。
 なにか聞こえる――鼓膜に届いてるわけではなく、頭の奥底で響いている。
 息を呑んだ。カトレアは膝立ちのまま、法衣から通信石を取り出して額に当てた。すると、突如として声が鮮明に流れ込んできた。
『あのとき、ずっと一緒って決めた……!』
『あなた――! 本当に、馬鹿ですわ――! 本当に――!』
 鼓動が跳ねる。聞き間違えるはずのない、仲間たちの声。
「お二人とも、なにをしているのですか……!」
 空へ舞い上がる発光体に自然と目が向いてしまう。いま想像していることは何なんだ。確証がないのに、どうして視線がそれ釘付けになってしまうのか、カトレア本人も理解できなかった。認めようとしなかった。
 まだ声が聞こえてくる。苦しげなものと、優しげなもの。光が雲に突入したとき、優しかったはずの声が激昂の色に染まった。
『マリー……! マリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!』
 それは通信石を伝ってきたものなのか、光から直接飛んできたものなのか、どちらとも判別がつかなかった。ただひたすらに、何かに向けて突き刺すような言葉だった。
 空の彼方で光が収束した――瞬間、発光体が一際強く輝いて、弾けた。その周囲の雲が一気に拡散し瞬く間に散り散りになる。
 円形の光線じみたものが近づいてきた。光が爆発した影響で発生した、目に見える衝撃波である。その危険性を悟ったカトレアは、本能的に回避行動を取っていた。すぐそばにあった家屋の隅へと、転がり込むようにして身を潜める。
 一呼吸の後、爆音と衝撃がスラム地区全体に降り注いだ。
「――ッ!」
 雷鳴が轟いているかのごとく、鼓膜を激しく叩いてくる。盾になっている家屋もぐらぐら揺れていて、いつ吹き飛んでもおかしくなかった。あちこちで窓が割れる音や何かが崩れる音が聞こえ、暴風の真っ只中に取り残されているかのようだった。
 実際はどれほどの時間だったのか――子供のように縮こまっていたカトレアは、音が止んでいることに気づいた。守ってくれていた家屋はヒビだらけになっており、原型をぎりぎり留めている。
「あぁ……」
 顔を壁から覗かせると、そこは変わり果てた景色になっていた。もとよりあまり頑丈ではなかった家々は上半分がほとんど崩れ去っていて、粉々になった家具や窓ガラスが散乱している。
 ドールの姿もない。先ほどの衝撃波は魔力の塊であり、より強大な魔力に当てられたため粉砕されたと見て間違いなかった。
「あ……ぁ……」
 カトレアはふらふらと歩き出し、瓦礫につまづいて再び膝をついた。その拍子に通信石が転がり落ちる。
「ぁ……! チューリップさん! マーガレットさん!」
 慌てて石を額に当てた。しかし呼びかけに応答がない。
「お願いします、返事を……!」
 本当は分かっている。あちらからの返答は絶対にあり得ない。
 あの発光体は途方もなく強力な魔力の集合体だった。さきほど通信石が突然反応したのもその影響なのだろう。お互いに意思疎通の目的がなくても、あちら側から一方的に声だけが共鳴してきたのだ。
「う、くっ……ぅ……!」
 けれどカトレアは事実から目を逸らしていた。何かの間違いだと自分に言い聞かせながら、通信石の向こう側に言葉を投げかけている。
 同時に、心の片隅で自覚もしていた。二人の声はもう絶対に返ってこない。自分のもとへは帰ってこない。
「うう、うぅぅうぅ……!」
 少女の瞳から涙がこぼれ始める。
 覚悟をしていなかったわけではない。コスモス王妃に仕える魔法使いとして、様々な任務にあたっていく中で、命を落とす危険性は常に孕んでいた。いずれ何かに敗北する――何かに巻き込まれる――
 それがチューリップと、マーガレットに降りかかったということだ。世界という視点から見れば、二つの灯が消え去っただけにすぎない。
 ただカトレアにとっては違った。幼なじみ同士だった二人は、特異体質で周囲から距離を置かれている自分を受け入れてくれたのだ。チューリップはぐいぐい引っ張ってくれて、マーガレットは後ろから包み込んでくれた。この先ずっと三人でいられたら――そんな願望すら芽生えていた少女は、生気を失った瞳で俯いている。
 ――遠くから足音が近づいてきた。人ではなく、かといってドールでもない。しかし馴染みのある音だ。たった一人残されたカトレアは、空っぽになった心に唯一響いてきたその音に、視線を向けた。
 馬車だった。二頭の大きな馬が、白い客車を引っ張っている。蹄と木の滑車が回転する音を響かせながら、うなだれているカトレアの目の前を通過していく。
「あ……」
 戦器士の瞳が揺れる。客室の窓ガラスから、女性が外を覗き込んでいたのを彼女は見た。その女性が誰かは知らないはずなのに、胸の奥が強く締めつけられる。
 ――笑っていた。荒れ狂った外の様子を眺めて、笑っていた。
「――――」
 色を失っていた瞳に、強い光が灯った。その色は普段のカトレアのものではない。湧き上がってくる感情が溢れんばかりに表された、激情の目になっている。
 少女がゆらりと立ち上がった。蹄と滑車が残していった土の跡を見下ろしながら、ゆっくりと、しかし確かな足取りで辿っていく。
 ぎりっ、と柄に音が鳴るほど、彼女の手に力が込められる。だらりと下がった刀を引きずるようにしながら、戦器士は太陽の下を孤独に歩み始めた。


 木木の中を必死で駆けている。夜明け前とはいえ林の中はまだ闇が濃く、しかも雨が降っていて足元は最悪だった。それでも彼女は走って逃げていた。
「はっ――はっ――はっ――!」
 彼女を護るはずの使用人などは、どこにも見当たらない。襲ってくる存在へと立ち向かっていったが、その後どうなったのかは主である彼女も分かっていない。
 もしかしたら本当は、敵を倒しているのかもしれない――その可能性もあったのだが、それでも足が止まることを許さなかった。
「はっ――はっ――んぐっ」
 背後からじわじわと迫ってくる恐怖感のようなものが、どうしても消えないのだ。時折振り返ることもした。その姿をはっきりとは見ていない。
 しかし、絶対に何か来ている。それだけは確実なのだ。
「あっ……!」
 雨でどろどろになっている土に足をとられ、無様に転倒してしまう。衣服は雨と泥でとっくに汚れきっていた。
 自慢だったはずドレスは、下部をほとんど破り捨てていたが、いかんせん逃走には向かない――そもそも彼女自身が”走る”こと自体あり得ない話ではあった。
 後方から、なにかが倒れるような音。
「ひっ……!?」
 立ち上がろうとして足を滑らせながらも振り向く。雨が降り続いていて視界は悪いが、それでも目の前に広がる景色が異常だと分かる。
 木々が切り倒されているのだ。何者かによって。ドレスの彼女が逃げていた後を追いかけてきている。その進行上にある木の群れを、避けるわけでもなく、ただ”邪魔だから”斬り捨てているのだった。
 数歩先にある大木も根元から切られ、ずしんと横に倒れた。その向こうにいる、刀を持った者の姿を、逃走者――マリーゴールドは見た。

「――――」
 カトレアは、ついにその足を止めた。目の前でマリーゴールドが倒れている。雨で泥と化した土に足をとられたようだ。
「あ、あなたは……!」
「お前が殺し損ねた一人だ」
 一歩前へと進むと、相手はびくりと震えた。
 黒髪の少女はスラム地区の住人にまぎれるための服装のままだったが、上半身の法衣はぼろぼろになっていた。膝上まで覆うソックスはところどころ裂けている。
 ドールとの戦いと、追跡を阻んできた使用人たちとの戦いがあったからだ。もっとも、後者は殺してはいない。追い求めていたのはただ一人である。
 マリーゴールドが表情を引きつらせながらも、乾いた笑いを洩らした。
「殺し損ねた? 私がいつ、あなたを。殺そうと――」
「全て仕組んだこと……精霊召還も、ドールも、あの二人が一緒に死ぬことも」
「や、やめてくれる? あの子たちは自らの意思で行動したのよ? それを……」
「そう仕向けたのはお前だ!」
 雨に塗れた刀を向けると、マリーゴールドは全身を震わせた。
 普段から感情をあまり表に出さないカトレアだが、この時ばかりは別人ともいえた。あの二人がそばにいれば、彼女を止めたことだろう。
 表情の変化は乏しいが、内包する感情は尖っている。雨で張り付いた髪の間から、暗闇でもはっきり読み取れるほどの鋭さが込められた瞳が覗いている。
 屋敷で自由気ままに生きてきたマリーゴールドでも、その黒い瞳から放たれている感情の意味が分かっただろう。
 それは、明確な殺意。カトレアは復讐をするために、彼女を追いかけていたのだった。
「仇をとるつもり……?」
「……」
「あ、あははっ、神聖なるリーフガーデンの魔法使いが敵討ち? 聞いて呆れるわね」
「魔法使いである前に私は人間だ」
 もう一歩前に出る。
「友人を殺されて、黙っていられるか……!」
 カトレアの精神は冷ややかでもあり、熱く燃え滾ってもいた。チューリップとマーガレットのために、私がやらなければ――その想いは間違いなく、夢を成し遂げるために努力するような、真っ直ぐな熱さを滲ませている。
 正しいとか間違いだとか、そんなことはどうでもよかった。『やられたからやり返す』という、ごく単純な理由しか頭にない。
 復讐のことしか、考えていない。
 さらに一歩近づいた戦器士へと、マリーゴールドは腰を抜かしながらも抵抗を試みた。
「<ファイアボール>!」
 空中に出現する火球が二つ出現した。付着する雨が蒸発する音と共に、それらは黒髪の少女へと襲いかかっていく。
 真正面から飛んできた攻撃を、カトレアは右手に持つ刀を一振りした。あまりにも軽い動きだった。虫でも払うかのような呆気なさで、人体を焼きつくすほどの高温を放つ<ファイアボール>は、一瞬にして霧散する。
 マリーゴールドは唇を震わせて、
「ま、まさか、”魔を断つ者”……」
 対して、カトレアはわずかに反応を示す。踏み出そうとした一歩が少しだけ止まったが、すぐに濡れた土を踏み込んだ。
「知られたところで関係はない。もう私が殺すのだから」
 自分に言い聞かせるように呟き、数歩しかなかった距離を目前まで詰め寄った。
 転倒したままのマリーゴールドは、小刻みに震えながら復讐者を見上げている。ぬかるんでいる土の上では、後ずさることもできないようだった。たとえ満足に動けたとしても、カトレアを相手に勝ち目はない。
「こ、こんなことをして、王妃になんて言うつもり? 国の魔法使いが人殺しなんて」
「黙れ」
「う……、マーガレットたちが、喜ぶと思うの?」
 大切な友人の名前が彼女の口から発せられたとき、先ほどよりも明確な反応を表した。
「その口で、その名を呼ぶな!」
 怨念じみた色をまとわせていた瞳が揺れ、カトレアは刀を振り上げる。ただ刺すのではなく、上から下へ一刀両断する構え。瞬間的に逆上してしまったことが、彼女の運命を決定してしまった。
 唐突に破裂音が鳴り響いた。爆発というには小さく、しかし鼓膜にひどく残る、突き抜けそうな音。
 カトレアは腹部に衝撃を感じていた。なにか尖った物が驚異的なスピードで入り込んできた。その異物は腹の奥で停止し、少女の全神経に痛みを走らせる。
 足が勝手に震え始め、支えられずに膝をつく。同時に喉の奥から生暖かい液体が駆け上ってきた。
「がっ……ふ……!?」
 青白くなっている唇から、真っ赤な血が吐き出される。反射的に腹部を押さえた手も、血液で染まっていた。強く押さえつけても次々と溢れ出してくる。
「ふ、ふふふ」
 破裂音の発生源はマリーゴールドの手に握られていた。彼女は不気味な笑いを浮かべながら、それを見せつけるように掲げる。
「見たことないでしょう? これ、拳銃って呼ばれてるんですって」
 見たままを言うなら、それは剣の柄に灰色の筒が取り付けられているような形をしていた。巨大ではないが重量感があり、しかしそれ自体が鈍器というわけではない。別の仕組みでもって対象を攻撃するれっきとした凶器であった。
「ぐっ……! うぅ……!」
 呻きながらうずくまる復讐者は、己の不覚を後悔した。
 マリーゴールドから魔力の放出は感じられなかった。その拳銃なるものから直接放たれた物が、カトレアの腹筋を突き破って、腹膜を突き抜けて、内臓の中心に潜り込んで、脊椎付近で停止している。
「ぇおっ、ごぼっ……!」
 逆流する血液が止まらない。傷口は燃えるように熱く、それでいて頭の中がひどく冷たい。意識が朦朧としているからだった。
 断続的に痙攣しているカトレアを眺めているマリーゴールドは、耳障りな笑いをあげた。
「あははははは、あははっ。残念だけど、ここでお別れね」
 もしかしたら、隙が生まれる瞬間を狙っていたのかもしれない。足を取られて倒れたのも、火球による魔法攻撃も、怯えた表情も――やはり、これも彼女のシナリオ通りなのか。
「…………ッ!」
 カトレアの瞳が、ぐるりとマリーゴールドへ向けられる。黒髪の少女は残りの魔力を総動員して、左手から解き放った。
「な、なに……!?」
 勝ち誇っていた表情が一瞬にして動揺の色へと変わる。マリーゴールドの足元が、凍りついていた。雨によって水を大量に含んだ土を、カトレアが魔法で冷却し、凍らせているのだ。
「どこからこんな力が……!」
 スラム地区での一件で、元々少量だった彼女の魔力はほとんど消費されている。ここまで追跡してくるにも体力を消費しているし、魔力の残存はほぼゼロに近かった。
 そのはずなのに、凍結魔法は万全の状態よりも凄まじい勢いで発生していた。土に触れている左手から伸びていく氷の道。それはマリーゴールドの汚れた靴を凍てつかせ、さらに上へと伸びていく。
「見苦しいわよあなた!」
 再び拳銃が向けられて、込められている金属の弾が発射された。高速すぎて肉眼では捉えることのできない弾丸は、しかしカトレアの目と鼻の先でぴたりと静止した。
 は? とマリーゴールドと理解できないとばかりに息を吐いた。弾丸が凍りついている――よく見れば、空気中が妙に白い。霜のようなものが生まれていた。
 それは腹を撃たれても瞳だけは死んでいない少女によるものだった。彼女からは考えられないほどの魔力が放出されている。明らかに限界を超えていた。
「ぅ……ぐ……」
 腹部から大量に出血しながらも、カトレアは立ち上がった。仲間の――親友たちの無念を晴らすために、そのために彼女は最後の力を振り絞る。
「こ、来ないでよ! 来ないでったら!」
 マリーゴールドがでたらめに射撃を続けたが、全てカトレアには届かなかった。どれも空中で氷結して落下する。結界ともいえる防御が働いているのだった。
 一歩一歩ゆっくりと、しかし確実に標的へと迫っていく。だらりと下がった刀を引きずりながら。その間にも最初に伸びた氷の拘束は、マリーゴールドの下半身を覆いつくそうとしらていた。
「あっ、いや、いやよ……! お願い、助けて……!」
 いまさら許しなど聞くわけがない。かけがえのない友人二人を死に追いやったくせに、なにが「助けて」だ。
 逆手に握った刀を高く掲げる。無様に泣き叫び始める女の胸をめがけて、一直線に突き下ろした。
「かっ……!?」
 びくん、とマリーゴールドの肢体が痙攣し、突き刺された箇所から血液が溢れ出た。
 カトレアの手には、人間の肉を裂いていく感触が返ってきていた。初めて人を斬ったのだ。それでいて少女の心には罪悪感など欠片もない。
 突き刺した刀は胸の奥にある心臓を射止め、背中側まで躊躇なく突き破った。土に刃の先端が触れる。もとより、魔力を切断する刀だ。どこを刺しても結果は同じだったろう。
「ぁ……っ……」
 右手から拳銃が転がり落ち、マリーゴールドの瞳からスッと光が失われる。痛みは一瞬だけだったろう。さながら昆虫採集の標本のような姿で、涙を溢れさせながら静かに呼吸を止めた。
 死んだ。殺したのだ。
「はあっ――かはっ、ぐぅ――」
 咳き込みながら、たった今人間の命を奪った少女は横に倒れこんだ。泥が白い顔に跳ね、腹部から流れ出る血液が円形に広がっていった。
 音がない――いつのまにか雨が止んでいた。撃たれた腹は痛みなのか何なのか、よく分からない違和感だけがある。
 うまく呼吸ができない。酸素を取り込もうとしても、勝手に吐き出される。肺に酸素は残っていないのに。
「…………」
 薄れていく意識と景色に、ほんの少し光が差し込んだ。瞳だけなんとか動かすと、木々の遥か向こう側で、太陽が昇りかけているのが見える。夜明け前だったということを思い出した。
 カトレアの心は空虚と化していた。ぽっかりと穴があいている。顔を覗かせた太陽を綺麗だと思うことも、これから自分が死ぬことも、全てどうでもよかった。つい先ほど人を殺したということさえ忘れかけている。意識が薄れているから、何も考えられないだけかもしれない。
「あっ――」
 ふと、声をあげた。瞳にわずかな意識を灯す。視線の先には太陽の光。まぶしそうに目を細めながら、手を伸ばす。ゆっくりと。指を震わせながら。
「――そちらに、いたの、ですか――」
 見えた気がした。次第に溶けていく視界の中で、ぼんやりと浮かんできたのだ。
 顔ははっきりと分からない――だけど確信していた。あの二人がいる。優しく微笑みながら、小柄な方は手を振っていて、背の高い方は手招きしていた。
 空洞になっていたカトレアの心に、じわりと感情が満たされてきた。血まみれになりながら、小さく微笑み返す。
「いま――いきます――」
 そうつぶやいた瞬間、震える指がぴたりと止まる。伸ばされていた腕が地面に落ちると、この場に呼吸する者は誰もいなくなった。


「以上で、報告を、終わります」
 少女は半泣きになりながらコスモス王妃を見上げた。
「ありがとう。あなたはあの子に憧れていたのよね」
「は、はい……しかし……」
「信じられない? カトレアが人を殺したなんて」
 びくり、と少女は肩を震わせた。彼女は一連の事件の情報収集を任されており、とある森の中で二人の死体を発見した。
 一人は半分氷づけになりながら、刀で心臓を貫かれていた。もう一人はなんらかの攻撃を腹部に受けて、出血多量で事切れていた――
 前者はローゼライトの町長ともいえるマリーゴールド。後者は王妃本人も信頼を寄せていた、戦器士カトレアである。
 相討ちだ。その事実が、この事件を担当している少女には理解できないし、認めたくなかった。
 コスモスは寂しげに微笑みながら小さくうなずく。
「人間というのはね、きっかけ一つで大きく変わってしまうの。まるで別人みたいに」
「ですが、あの人に限って、そんな……!」
「そういう人ほど、よ。普段から感情を押さえ込んでいるほど、裏返しになったときの反動が大きいわ」
「では、コスモス様は事実を認めろとおっしゃるのですか! そんなはずはないと、あなたは思わないのですか!」
 口ごたえともいえるこの発言に、コスモスは眉一つ動かさない。
「認めなかったところで、あの子は……三人は帰ってこないのよ」
 ぐっ、と少女は言葉を詰まらせた。こらえきれずに涙が頬を滑り落ちて、嗚咽が漏れ始める。
 そう、チューリップ、マーガレットも死んだ。幼なじみ同士の二人は死体すら発見できなかった。だが死亡していると決定づけられるのは、目撃者が多かったからだ。
 特に、縁が深かったスミレという屋敷のメイドは当事者でもあり、全てを証言してくれた。
 確かな絆で結ばれていた三人は、もうこの世にはいない。生きている者たちの記憶の中にしか、今は存在しないのだった。
 泣きじゃくる少女に向かって、コスモスは重たげに口を開く。
「……辛いだろうけど、これだけは聞かせてくれる?」
「ひっく……は、はい、なんでしょう」
「カトレアは、どんな顔をしてた?」
 少女の瞳が王妃を凝視した。カトレアの背中を追いかけていたという少女に対して、あまりにもぶしつけすぎる質問だった。それでも王妃は真っ直ぐ彼女の視線を見返している。
 しばらく沈黙のカーテンで覆われていたが、やがて少女が隙間を覗かせた。
「あの、それは……」
「正直に言って。あなたが感じたことを、正直に」
 ややためらいがちに、少女は視線を逸らして俯いて答える。
「カトレアさんは……微笑んでおられました」
 彼女は発見したときのことを思い返す。雨でぬかるんでいた地面、木々と血の匂いが混ざった空気、その中心で命の灯を消していた黒髪の少女は――
「なにかを、成し遂げたような……とても、優しげな表情で……」
「そう……ありがとう」
 椅子から立ち上がった王妃は、少女に歩み寄って頭を軽く撫でる。
「明日はゆっくり休みなさい。お疲れさま」
 はい、と涙声で返事をした少女は、ぎこちない一礼をして執務室から退室した。
 王妃は再び椅子に腰掛ける。窓の外では満月が昇っていた。彼女はそちらを見上げながら、
「ごめんなさい」
 空の向こう側へと小さく呟いたのだった。
 
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。