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★ウルトラスイマー・ミウ

※【何発でも】腹責め専門SS・その12【叩き込め】スレに投下したものです。

 今にも雨が降り出しそうな曇り空を割って、二つの巨大な光が降ってきた。
 首都のど真ん中である。歩道や車道も関係なく人であふれかえっていたが、われ先にと逃げ出す者はむしろ少数派だった。
 今目の前で繰り広げられている光景は現実であると分かっていながら、どこか夢に見ていたというか、人々の表情は恐怖よりも好奇心の色が濃い。
 遠く離れている家族や友人たちからの安否確認の電話に、人々は例外なくこう答えた。
「スクール水着と怪獣が戦ってる」

 人間が言うところのスクール水着を身にまとっているのはもちろん女である。
「ここ、なんて星……?」
 姿は人間とほとんど変わらない。海のように青いショートヘア、無邪気そうな雰囲気を漂わせる顔立ち。
 この星の基準で換算すれば、彼女は年齢にして十五歳だ。どちらかといえば小柄な方だが、それは母星での話である。
 身長三十八メートル。いわゆるスクール水着は彼女の一族にとって一種の民族衣装で、なにも恥ずかしいことではない。
 脚は裸足ではなく膝下まで覆うブーツで、ほどよく肉付いた太ももがやけに艶かしい。
若いが全体的に肉感的で、肌の血色もよくみずみずしいエネルギーに満ち溢れている。ただし絶望的になだらかな胸だけが貧相だった。
 彼女はウルトラスイマーという種族で、ミウというこの国でも女寄りの名前をしている。だが、この星の言語では発音すらできない。
「なんだこのちっぽけな星は」
 もう一体は牛の頭をした怪獣である。ミウよりも遥かにがっしりした体格で二足歩行。腕や脚の太さは周囲に建つビルとほとんど変わりない。
「バッファル、ここだとみんなに迷惑がかかるわ。どこか広いところに――」
 ミウが街を見渡しながら提案する。しかしバッファルと呼ばれた牛顔の怪獣は、
「アホか。そんなこと言って水の多い場所に移動するつもりだろうが」
「くっ、バレバレ……!」
 図星である。ウルトラスイマーは水が重要なエネルギー源であり、母星では豊富に存在する。
 仲間の警告を無視して宇宙を徘徊していたミウは、不運なことに敵対勢力のバッファルと遭遇してしまった。
 そして母星に引き返す最中、この星の重力に引きずり込まれてしまったのだ。
その際青々とした水の領域を視界に捉えていたが、これまた運悪く都市圏に落下してしまったらしい。
「もう、なんなのよここ。水は見当たらないし石造りの建物ばっかだし空気は汚れてるし空は暗いし!」
 対比すると周囲が小さいため当然声も響き渡るが、言語が違うため人間たちに意味は伝わらない。
「観念するんだなウルトラスイマー。ここをキサマの墓場にしてやる!」 
 バッファルが足元にあるものを蹴散らしながら突っ込んでくる。
 ミウはしかし避けることを拒否した。自分よりも一回り大きな巨体を両腕で受け止める。
「ぐううっ!」
 ブーツの底が二車線道路に沈んだ。ミウは凄まじい衝撃に吹き飛ばされそうになったがぎりぎりで堪える。両腕には痺れるような痛み。
「フハハッ、この星の住人を守るつもりか」
 彼女の背後にある高層ビルに気付いたバッファルは愉快そうに笑った。彼もビル内の人影を捉えたであろう。いや、最初から分かっていのかもしれない。
「ここは彼らの星! よそ者が荒らしていいわけない!」
「先に落ちたのはキサマの方だぞ」
「だから、わたしには責任があるの!」
 ミウの決意は燃え上がっていたが、彼女の体は次第に高層ビルへと接近しつつあった。
「うう、ぐうぅう――!」
 押されている。
 バッファルの体がやけに重く感じる。自分の体も。降下するときも引っ張られるような感覚があったし、母星よりもはるかに重力がきつい。
 そのためか実力の半分も出しきれていない。その点はバッファルとて同じはずだが、彼はパワー馬鹿ともいえる肉体派なのであまり関係なかった。
「あっ……!」
 背中に硬い感触。少しずつ押され続け、ついにビルと密着してしまった。足元の道路や申し訳程度の木々がほとんど剥がれてしまっている。
「ほらほらどうした……む?」
 力負けしているミウだったが、むしろその高層ビルによって体を支えられる結果となった。この星の建造物は割と丈夫らしく、壁が軋む音は聞こえるが倒壊するには至らない。
「ぬう、ならば」
 バッファルもそれを悟り、一旦を体を引いた。押し返そうとしていたミウが前のめりによろけたところ、その腹部へ拳を突き込む。
 めりっと腹筋が沈み、ビルを背にしたスクール水着の中央に深々と凶弾が埋まった。
「ぉっ……! ぐぶぁっ」
 口内に湧き出た唾液が吹き出る。
 自然と目が大きく見開かれ、体がくの字に折れた視線の先、筋肉質な腕が突き刺さっている腹部が視界に映った。
「げほっ! げふっ!」
 重く咳き込む巨大ヒロインは、背後で何かが崩れるような音を聞いた。心臓が跳ねる。
 腹部を押さえながら振り向くと、そこに佇んでいたはずの高層ビルが、ただのガレキの山と化していた。
 殴られた際の衝撃が、ミウの体を伝ってしまったのである。
「ひどいやつだな。お前がしっかり耐えないからだぞ」
 他人事のように言い放つバッファルに、ミウは彼だけでなく自分自身にも怒りを募らせた。
 悔しさもだ。他の惑星に被害を及ぼしてしまったという事実が、心を後悔の鎖で締め付ける。
 不適に笑っている敵を睨みつけ、彼女は腹の痛みを無視しながら叫ぶ。
「うああああああああ!」
 空の彼方まで届きそうな叫び声は、半径百メートルにも渡って家々や住人たちの鼓膜を震わせた。
 怒りに任せて飛びかかる。一瞬気後れしたバッファルの顔面めがけ、感情を乗せたストレートパンチをお見舞いした。
「グゥッ!」
 思いのほか強烈な攻撃だったのか、彼の表情に苦痛の色が差し込んだ。一気に攻め立てるチャンスと見て、ミウは連続攻撃をしかけていく。
「なんとも思わないの、あんたは!」
 横腹にミドルキック。ブーツに包まれた足が分厚い胴体を薙ぐように打ち、巨体がたたらを踏んだ。
「みんなを巻き添えにして、なんとも!」
 続いて牛顔の頬を左右から殴りつける。その度にバッファルの頭部が振り子のように揺れた。
 星の重力下でミウは本来の力を出し切れていないはずだが、燃え上がる激情がポテンシャルを高めている。
 敵の巨体がぐらりと傾いた。仰向けに倒れ行く先にも当然建造物が立ち並んでいる。ミウは彼の腕を掴んで無理矢理引き寄せ――
「ぐあっ!」
 牛顔が猛然と接近してきて額と正面衝突した。さらにもう一度。
「調子に乗るなよ小娘がぁ!」
 二度目の頭突きは脳を震わせた。揺れる視界、左半分が赤く染まる。額が割れて出血し、左の瞳に入ってきた。
「ぐう、うぅっ……!」
 右目だけはかろうじて維持するが、それでも視界が定まらない。よろめくミウの両肩が掴まれ、腹部に太い膝が打ち込まれた。
「げふっ……!」
 両足が浮くほどの威力。肋骨がみしりと軋み、ミウは苦悶する。
 さらに二発、三発と連続で膝が埋まり、その度にみずみずしい肢体が浮いたり、折れ曲がる。
 腹部全体が押し上げられると同時、内臓も揺さぶられる。
「ごっ! げはっ……! ぐっ、ぷ」
 休みなく腹を蹴り上げられたため、胃や肝臓がめまぐるしく動き回り、渦巻くような嘔吐感が生まれていた。
 唇の両端から透明な唾液が流れ、歩道橋に降りかかっていく。
「ひゃう!?」
 崩れ落ちそうになったミウの体が、変な悲鳴と一緒にびくんと引きつった。下半身に硬い感触。スクール水着の股下に、バッファルが頭部を押し込んでいた。
「ちょっと、なに――ひゃわっ!」
 バッファルは変態行為に及んだわけではない。ミウを背負いこむようにした後、驚異的なパワーでもって真上に放り投げたのである。
 四十メートル近い肢体がロケットのごとく上昇していき、この都市のシンボル的な赤いタワーの頂点にまで並んだ。
「あっ、あぁ……」
 あとは星の重力に従うのみである。くもり空の下、タワーの先端を視界に捉えた途端、上昇する浮遊感とは真逆の急降下する感覚にパニックを引き起こした。
 こんなの初めてだ。ある程度は飛行もできるウルトラスイマーだが、この重力は予想以上に負荷が強すぎる。宙に体を固定させることもできない。
 ミウの意志に反して、体が猛然としたスピードで真っ逆さまに落下していく。
「ひっ……」
 地表へ近づくにつれて彼女の表情に恐怖の色が浮かんだ。大の字になって降下していく視界には一部損壊した街並み、そしてバッファルが――
 右腕を引き絞りながら待ち構えている。
「待って、や、やだ……!」
 激しい空気抵抗で身動き一つとれないミウは、ただひたすら敵めがけて落下していく。次第に大きくなっていく牛顔の巨体。
 彼は口の端を吊り上げていた。
 大の字に伸びた肢体――無防備にさらけ出されたスクール水着の中心を、槍のごとき猛打が突き上げる。
 落雷のような打撃音が轟き、巨人だがしなやかな肢体が九十度近く折れ曲がった。

「ぇ゛お゛お゛ぉぉぉぉ!? ぐぶはっ、ぁ゛……!」

 びしゃ、と胃液が盛大に吐き散らされる。
 黄色くにごった粘液が建物や道路に降り注ぎ、街並みを汚した。
「ハハッ、いい手応えだ」
 大地に穴をあけるほどのパワーを備える彼の拳と真正面から衝突し合って無事でいられるはずもなかった。腹の中に鉄球が埋められているような重量感。
 強烈なボディアッパーによって腹筋は断裂し、腹膜も突き破られ、内臓器官がまとめて抉り潰された。
「ぐぼっ、ぇぉっ、ぉ゛ぼおっ」
 特に胃などは背骨と密着するほど押し込まれて、ごつごつな拳に挟まれてぺしゃんこにプレスされている。
 周囲の皮膚が着弾地点に向かって引っ張られ、スクール水着には肋骨がくっきりと浮き上がっていた。
 それらは今もめきめきと悲鳴をあげている。
「げぇっ……! ごぼっ……!」
 断続的に痙攣するたび、壊れた蛇口のように透明になった胃液が零れ落ちた。唾液と混ざって粘着性を増し、地上との間に糸を引いている。
 灰色の空の下で突き上げられた、くの字に折れ曲がるスクール水着。人間たちは、自分たちと同じ姿をした彼女のあられもない光景を見て何を思うだろうか。
「俺の勝ちだ」
 めちゃくちゃになった内臓の感触を楽しんだバッファルがようやく腕を下ろし、ミウは地上に降りることを許された。
 投げ出されるようにして解放された体は受身など取れるはずもなく、道路をヒビ割りながら二転、三転する。
「ぁがっ、か……ぅぶっ……ごぽっ」
 壮絶な一撃を受けた腹部には大きな拳の痕。放心状態なのか患部を押さえることもしなければのたうち回ることもしない。
 スクール水着は地上に吐き散らされた胃液溜まりで薄汚れ、彼女の若々しいエネルギッシュな生気は見る影もなくなっていた。
 細くなった瞳孔が完全に閉ざされる瞬間、嘔吐感が渦巻いている腹部に再び激痛が湧き上がり、ミウの上半身が跳ね上がる。
「ぐばぁ!? があ゛あ゛あぁぁぁあぁぁ――――!?」
 消えかけていた意識が強引に覚醒させられる。陥没していた腹部を、大木のようなバッファルの足が踏み抜いていた。
 ズン、と踏みつけられた腹の下、地上に大きなクレーターが生まれた。周囲のビル郡や家々、道端に転がる車両などがオモチャのように崩れたり宙を舞う。
「眠ってんじゃねえぞ、おい!」
 全体重を乗せるようにしながら、バッファルはもう一度ミウの腹を踏み貫く。
 ぼぎっ、と鈍い音が街中にこだました。
「ぶぐっ!? げぼほ!」
 体内から響く絶望的な音と痛み。水着の上からでも見て取れるほど浮き上がっていた肋骨のうち、左右二本ずつがへし折れていた。
 激痛に悶絶する彼女の腹を、バッファルの足がぐりぐりと踏み荒らす。
「ぇぼっ! がはっ、ぁ、も、やめっ、ごぼっ、やめ、てっ……!」
 折れた肋骨がその身を砕きながら腹腔内を傷つけていく。
 うすっぺらく潰されていた胃が裂かれ、痙攣する肝臓に突き刺さった。
 一際大きく咳き込むと、青ざめた顔とは対照的な、熱い真っ赤な血がほとばしる。
「げぼぉっ、お゛ぇっ」
 どろりとした血液が噴水のように吐き出され、クレーターになった地表に赤い池をつくりだした。
 バッファルが足を離しても、灼熱を帯びたような痛みは消えない。
 かろうじて呼吸はできるが、酸素を少しでも取り込むだけで内臓がぐちゅぐちゅと音をたてる。
 細くなった瞳孔はくもり空を見上げるだけ。人間たちからみても彼女の敗北は確定的だった。
「そろそろとどめだ。この星のヤツらに、無様な姿を見てもらえ」
 再び足を振り上げていく牛の怪獣。ダメだ。今度こそ心臓さえ潰されてしまう。
「ぁっ――ッ――」
 いやだ、死にたくない。漠然とした恐怖が全身に染み渡る。痛みとは別の涙が溢れ出して、引きつったような嗚咽が吐血とともに漏れ始める。
 逃れようと必死に体を動かしても、両足のブーツがただ地上を滑るだけだった。
「おわりだ! ウルトラ――グワッ!?」
 最後の一撃はしかし、踏み落とされなかった。爆発音が聞こえたかと思えば、バッファルの巨体がフラフラと後ずさっていく。
 何が起きたのか。短く呼吸するミウは薄暗い上空を何かが超高速で横切るのを視界に捉えた。大気が震え、鳴いている。
「なんだ、キサマら!」
 バッファルが鬱陶しそうに視線を泳がせている。人間的にいうならば虫でも探しているかのような。
 確かにそれらは虫同然だろうが、この星、ひいてはこの国にとっては外敵に対する有効な兵器なのだった。
 鋼鉄の鳥。朦朧とする意識の中で、ミウは飛行するものをそう認識した。
 母星の鳥と大きさは同じくらい。だけど血が通っている生物にはとても見えなかった。
 しかもその鳥たちはさらに高速な物体をバッファルへ発射していく。。命中すると激しい爆発を起こし、牛顔が苦悶しながらよろめいた。
「クソッ……! どうして俺だけを攻撃する!」
 爆音が轟く中で、ミウの鼓膜を別の何かがノックした。
「――――――!!」
 それは人間たちの声。危険極まりないことに、この状況で住人たちは戦闘区域付近で行列をつくっている――
 付近といっても、ミウたちからすればの話で、実際は相当距離が離れているのだが。
 それでも、ちっぽけな人間たちの声はしっかりと届いた。知らない言語だし、もちろん意味なんて分からない。
 だけど想いが伝わってくる。
「あ……?」
 ぽつ、と頬に何か付着した。水滴である。空から水が降ってきている――それは次第に強さと激しさを増していった。
「なんだこれは! どうなっているんだ!」
 この現象を二人とも知らない。ただウルトラスイマーであるミウにとってはまたとないチャンスである。
 体中の血管が活性化するほど熱を帯びた。狂ったような叫びをあげながらバッファルへと飛びつく。
「うぅああああああああああ!」
 傷ついた内臓たちがごろりと蠢いたが、痛みを強引に押さえ込んだ。
「グッ、こいつ! 離れろ!」
 圧倒的なパワーを有するはずのバッファルだが、突如として大きな力を振るい始めたミウを引きはがすことができない。
 それどころか体が浮き上がっていくという事態に牛顔が驚愕の色に染まる。
「バ、バカな! どこからこんな力が!」
「んぎっ、ぃぎいぃぃぃぃ!」
 新たな血を唇から垂らしつつも、ミウは自分よりも大きな敵を持ち上げていく。
 散々痛めつけられた内臓は破裂寸前だし、両脚が今にも崩れ落ちそうなほど震えていた。
 それでも顔を真っ赤にして歯を食いしばる。全身がばらばらになりそうな苦痛に耐え、腕の血管が膨れ上がるほどめいっぱい力を込めた。
「だぁりゃああああああああ!」
 気合一閃、巨体を投げ飛ばす。雨にうたれながら舞い上がっていく姿を睨みつけながら、両手をがっちりと握り合わせた。
 人差し指だけ伸ばした形。人間たちには、銃で照準をつけているように見える。
 指先に水玉が出現した。エネルギーを集めているのだ。街全体に降り注ぐ水が吸い込まれるようにして水玉へと収束していく。
「必殺! スプラッシュ光線!」
 水玉がビームとなって撃ち出され、宙に浮かぶバッファルへと叩き込まれた。
「グオオオオアアアアァァァァ!」
 激流がバッファルを彼方へと連れ去っていく。雨をはじき、灰色の空を突き抜けたとき、雲が割れて太陽光が一瞬降り注いだ。
「クソッ――おのれ――絶対――ッ――!」
 怒号はもうほとんど聞こえず、いつしか大気圏外まで押し出された彼は、宇宙空間でついに爆散した。
 怪獣は命尽きるとき爆死する。強力なスプラッシュ光線に耐え切れなかったのだ。
「はあっ……はっ……げふっ、ごほっ」
 はるか空の上に完成した爆煙。ミウは必殺技の構えを解くと、ズシンと両膝をつく。
 水を浴びたとはいえ、内臓が深く傷ついた状態で無理をしすぎた。
 彼女を中心にして広がる、倒壊した建造物やえぐれた道路。遠慮がちに見ても被害が少ないとは言えない。
「くっ……なにが、荒らしちゃいけない、よ」
 全部自分が悪いんじゃないか。重力の引き寄せられ、この星に下りてきてしまった未熟な自分が。
 不可抗力なんて言い訳は通用しない。住人たちだって――
「WAAAAAAAAAAAAAAA――――――!!」
 心臓が震えるほどの大歓声。閉じこもろうとしていたところを引っ張り出される思いだった。
 はっ、として顔を上げると、人間たちがずぶ濡れになるのも構わずに声を張り上げている。
 上空では鋼鉄の鳥たちが、喜びを表現するように編隊を組んで踊っていた。
 地上ではに彼女に手を振る者、右手を額に添えたポーズで微動だにしない者、みんな口々に同じ単語を連ねている。
 おそらくそれは感謝の言葉だ。だってこんなにも胸が暖かくて、感情があふれ出しそう。
「ア――アッ――ト――?」
 ミウだって同じ気持ちだ。むしろこちらが感謝してもしきれないほど。敗北しかけた際、手を伸ばしてくれたのは他ならない住人たちなのだ。
 そして水が降るという現象。この星そのものが救ってくれたと言っていい。
 母星の言葉ではなく、彼らの言語で伝えなければ。腹部の痛みをこらえつつ、最大限の笑顔を咲かせて。
「――アリガト!」
 声援の熱量はこのとき、頂点に達した。

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